とにかく可愛い!森田一輝ペッパーの「初々しさ」にノックアウトされた話【劇団四季マンマミーア観劇レポ】1階5列上手

観劇レポート

💡本記事3つの見どころ

  • 「チャラ男」から「忠犬系」へ: 菊池ペッパーのイメージを覆す、森田一輝さんの「思春期男子のようなピュアな初々しさ」がもたらす新たなペッパー像に迫ります。
  • 肉体のポテンシャルが爆発する瞬間: 圧巻のアクロバットが炸裂する「母さんは知ってるの?」で見せた、バネのような躍動感と身体能力のギャップを詳報。
  • 飛び散る汗に宿る一生懸命さ: 「ヴレヴ」の激しいダンスで見せた、照明に照らされ光り輝く「全力の汗」が観客の胸を熱くさせる理由を徹底解説。

この記事は、12月28日に公開した記事をリライトしたものです。

聖夜の贈り物。5列目で出会った「一途な少年」

12月24日、クリスマスイブ。私という名のサンタクロースは、自分自身に最高に贅沢なプレゼントを贈った。森田一輝ペッパーという、抗いがたい生命力に溢れた表現者に会いに行ったのだ。

席は1階5列31番。上手側の通路から2列目。俳優の熱い息遣いがダイレクトに届くその場所には、聖夜の夜、好きな人の視線をただ必死に追いかける一途な少年がいた。それが森田一輝演じるペッパーだった。

「チャラ男」のイメージを覆す、子犬のようなピュアさ

登場した瞬間、良い意味で期待を裏切られた。 これまで私の中にあった「ペッパー=口説き慣れたチャラ男」というイメージを、彼は鮮やかに塗り替えてみせた。森田ペッパーは、とにかく、ひたすらに「可愛い」のだ。

菊池ペッパーが「女性のあしらいを知り尽くした、余裕のある男」だとしたら、森田ペッパーは「背伸びをしたい盛りの、眩しいほどに真っ直ぐな思春期の男子」。

1幕、スカイやエディと共に現れた森田ペッパー。サングラスの奥の瞳は見えずとも、ターニャ(恒川愛)を見つめてエディ(嶺山秀平)とこっそり耳打ちする様子は、憧れの女性を前にして色めき立つ男子高校生そのもの。 「Γεια σου, κούκλα μου(ヤス・ククラ・ム)」(僕のかわいこちゃん)と彼女の前に飛び出す姿は、全力で尻尾を振って「ねえ、僕を見て!」と駆け寄る子犬のようだ。鼻の下を伸ばしてデレデレしてしまうその表情には、計算のないピュアな情熱が宿っている。

ソフィ(石村知幸)との掛け合いも非常にフレッシュだ。『Lay All Your Love On Me』で、床に座るソフィと同じ高さまで目線を下げ、「ソフィは慌て者だな」と優しく手を差し出す場面。その声のトーンの柔らかさ、溢れ出る「好青年」の香りに、観ているこちらまで思わず胸が鳴った。

目が離せないターニャとの掛け合い

圧巻なのは2幕の『Does Your Mother Know』だ。 どれほどターニャにあしらわれても、満面の笑みで食らいつき、踊り続ける姿はまさに「忠犬」。 「私、あなたのお母さんになれるくらいの年なのよ」という彼女の拒絶に対し、「じゃあ、僕はオイディプスになれる!」と目をキラキラさせて言い放つ。その真っ向勝負な姿勢と、それを受ける恒川ターニャの「はぁ?」という呆れ顔のコントラストが最高に面白い。

また、ターニャに触れられて体が震えるシーンも秀逸だ。菊池ペッパーが「悦びに浸る震え」を見せるのに対し、森田ペッパーは「心臓の鼓動が全身に伝播したような、抑えきれない緊張の震え」。まるで放課後の教室で起きているドラマを特等席で覗き見しているような、そんな微笑ましい臨場感に包まれる。

ほとばしる汗と驚異の身体能力。全身全霊のダンス

そして何より語るべきは、その「懸命さ」が物理的な熱量として放出されるダンスだ。 とにかく、彼は汗っかきなのだ!

エディたちとターニャを囲んで激しくステップを踏むシーン。ターンを決めるたび、きらめく汗の飛沫が照明を浴びて空中に散る。その一滴一滴に、彼がこの役に注ぎ込む並々ならぬ熱意が凝縮されている。

『Voulez-Vous(ヴレ・ヴ)』では、彼の身体能力の高さに息を呑む。高い打点のバク転を繰り出し、それまでの「可愛さ」をかなぐり捨てたかのような雄々しい躍動感を見せる。このシーンは照明が暗いため、彼の超絶技巧が影に隠れがちなのが本当にもったいないと常々思う。 センターで踊るペッパーは、しなやかさとキレが極限で融合したダイナミックな動きを見せる。

暗転の瞬間、眼裏に焼き付いた「銀色の輝き」

ふと見れば、円陣の中で一人、背中が異様に濡れて光っている者がいる。森田ペッパーだ。その濡れた背中は、彼がこの瞬間に全霊を懸けている何よりの証言者だった。

やがて一列になり、上手側の壁際でターニャと共に決めポーズを作る。その刹那、背後からの強烈なスポットライトが客席へと突き抜け、舞台は暗転へと向かう。 その光が消える直前の、ほんの一瞬だった。

激しいダンスを終えたばかりの、彼の胸元が大きく上下に波打っているのが見えた。逆光に照らされたその姿は、それまでの「可愛い男の子」の印象をふっと越えて、一人の青年のひたむきな輪郭を鮮やかに描き出していた。 鎖骨から胸元へと伝う一筋の汗が、光を反射して銀色に輝く。 暗転の瞬間に眼裏(まなうら)に焼き付いたその光景は、彼が全身全霊で駆け抜けた時間の、美しくも鮮烈な証だった。

最高のクリスマスプレゼント

私にとって、これ以上のクリスマスプレゼントはない。 何事にも全力で、眩しいほどに一途な「子犬系ペッパー」。その圧倒的な生命力の輝きに、観終わった後も胸の鼓動が収まらなかった。

翻弄するチャラオーラ全開の菊池ペッパーか。初心な魅力が爆発する森田ペッパーか。 あなたは、どちらのペッパーに心を射抜かれたいだろうか。

なお、菊池ペッパーの詳細なレビューはこちら

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