劇団四季に翻弄される日々――衝動が止まらない!
劇団四季に翻弄されている。12月8日の週間キャストの更新では、サム役は梅津亮さんだったが、ふと昨日(12/11)夜に見てみたら、サムに田中彰孝さんの名前が。
スカイを演じていた田中さんがついにサムを。しかもドナは元ソフィの江畑さんである。
「なにー!」と叫びたくなった。たまたま仕事が休みだったこと、この時点で13日以降のサム役が未定だったこと……この絶妙なタイミングが私の観劇欲を抑えきれなくさせた。
完全にお財布に火が噴いているが、もう知らない。来月のクレジットカードの請求が怖い。

田中サム:一言で言うなら「めっちゃ頼りない」(※最高の褒め言葉)
田中サムの感想を一言でまとめるなら、「めっちゃ頼りないサム(褒めてます)」だ。
頼りなさが母性本能をくすぐるような、情けないタイプの女たらし。誠実で優しそうな雰囲気を持つ紳士的な梅津サムとは、対照的な印象を受けた。
1幕:シンバの威厳から子猫へ
1幕序盤でソフィと話している時、田中サムは意外と態度が大きく、その立ち姿は完全にシンバにしか見えない。
しかし、その印象は、ドナを目の前にした瞬間、一変する。21年ぶりにドナと再会するシーン。
「はぁい」
とめちゃくちゃ震えるか細い声でと言った時には、思わず心のなかで「頼りね〜」とつぶやいてしまった。デビュー当日で緊張していたのか、さっきまでの威厳はどこへやら。まるで子猫になってしまったかのようだ。
この、演技なのか緊張なのか判断しがたいこの一言のギャップが凄すぎて、私の頭には完全に「頼りない男」というイメージがこびりついたまま2幕へと突入した。
緊張感がうまく作用した2幕:「SOS」とドナの輝き
しかし、このデビュー初日特有の緊張感が、ある意味でうまく作用したようにも感じた。
特に、江畑ドナと田中サムという、元ソフィとスカイのコンビによる「SOS」!二人の歌声も素晴らしく、若かりし日のソフィとスカイの姿と重なって、なんとも感慨深い気持ちにさせられた。
江畑ドナも田中サムを意識してか、歌がいつみ以上に素晴らしかった。いつも聴いている中で、今日は最後の「そして去ったのー」の声の伸びが綺麗で、力に溢れていて、今期見た中で一番よかった「The Winner Takes It All」だった。
田中サム、最後の最後で「そこで噛むんかーい!」
そして、田中サムは最後の最後まで「頼りなさ」を貫く。
ドナにプロポーズする、感動の場面。
「きみと僕にもまだ時間は残されている」という台詞で、「き、きみにも僕にも」とまさかの台詞を噛むというハプニング! 思わず「そこで噛むんかーい!」と心の中でツッコミを入れてしまった。あの間は、明らかに緊張で台詞が飛んだ間だったのだろう。
その後の台詞は、噛まないようにゆっくりと発声していたが、まあ、それも含めてサムっぽいなと思ったのも正直なところだ。ただ、結婚してもドナに尻に敷かれていそうなサムであることは間違いない(笑)。
その他のキャストの魅力
デビューが多い公演だったためか、1幕は全体的に緊張感があり、テンポが速くて乗り切れない部分もあったが、2幕では他のキャストが場を盛り上げていた。恒川ターニャの「母さん知ってるの?」では豪快でパワフル。八重沢ターニャと比べて男っぽく大胆だが、力強さがあって良い。菊池ペッパーは、前回見たのと相変わらずの安定したチャラさだった。そして、ようやく出演の嶺山秀平エディ。田中サム同様に、少し緊張していた様子だったが、ペッパー、スカイと並んだときの仲良し男子のような雰囲気が新鮮だった。ハンドコエディは、エディがしっかり者のお兄さんみたいな印象を受けるが、嶺山エディの場合はスカイ、ペッパーが同級生のように見え、新しい3人の関係性が見えた気がした。
まとめと今後の期待
演技なのか緊張なのか、まだ判断しがたい部分はあったが、デビュー初日でこれだけ観客の印象に残る田中サムは、公演を重ねればかなり面白いサムになるのではなかろうかと思う。
そして、この記事を書いている間にキャスト情報が更新され、13日・14日も田中サムが続投とのこと。さらなる進化を期待したい。




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